手巻き寿司とめいっこ

私には2歳半になる姪っ子がいる。
彼女とはお盆と正月の年に2度ほどしか会わないが、いつもその食事風景の壮絶さに笑ってしまう。
あまり食欲が旺盛でない彼女は、朝はスティックパン1本と牛乳をコップ半分飲んだり飲まなかったり、昼は大人の5分の一程度の量をぼそぼそと大儀そうに食べる。
しかし夕食が手巻き寿司だったあの日、彼女は食欲に目覚めた。
海苔にごはんと納豆をまいてもらいむしゃむしゃと食べる。
海苔にごはんとシーチキンをまいてもらいむしゃむしゃと食べる。
海苔にごはんと卵をまいてもらいむしゃむしゃと食べる。
海苔にごはんと納豆をまいてもらいむしゃむしゃと食べる。
このあたりから手には大量のご飯粒と海苔の残骸、顔中も同様な状態でおでこや髪の毛まで海苔とご飯粒だらけである。
それでも彼女はひたすら海苔にごはんとシーチキンを巻いてもらいむしゃむしゃ食べる。
海苔にごはんと・・・・。を続ける。
いつものぼそぼそと食べる彼女ではなく、(若干血走っているぐらいに)生き生きとして食べる食べる。
それは今回に限った事ではなく、毎回手巻き寿司のときのみそのような彼女に会えるのだ。
彼女の必死さは好きとかそういうレベルではなく、何かの使命を背負っているのではないかと思わせる。
手巻き寿司のなにが彼女をそうさせるのか分からないけれど、その豹変振りを私はとても楽しみにしており、毎回みなで集まると母に今回も手巻き寿司にしてとこっそりお願いしている。
しかし、いつかそんな自分に気づき、手巻き寿司も普通に食べるようになってしまうんだろう。
あんなにひたむきにものを食べる人を見た事はなく、これからもそうはないだろうと思うと、まだまだそうであってほしいと心から願う。